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2003年11月07日

Web上でのBGM [Web]



音楽の与える影響


音楽は良いものだ。時にそれは人を励ましたり、勇気づけたり、感動を与えたりする。人の感情を動かす要素としての音楽の存在は、計り知れない影響力がある。しかし使い方をひとつ間違えると、音楽は粗暴で荒々しい凶器とも成り得る。


ページの読みこみと同時に、ユーザの意志とは関係無く突如音を奏でるスピーカ。Web上でBGMを流す事は、しばしばユーザに大いに嫌われる行為として挙げられる。自宅でくつろいでいる時なら良いかもしれない。あるいは、ヘッドホンを装着していたならば問題は少ないだろう。しかしそれがオフィスや学校のPC、あるいは深夜だったらどうだろうか。周囲から非難の眼差しを浴びるくらいならまだましとして、場合によっては相当の危機に陥る可能性もある。閲覧環境次第では、ブラウザクラッシャーよりもはるかに強力だ。


唯に、自衛策として音楽の再生を行なわない設定にしたり、スピーカの音量をゼロにしている人もいる。しかし、自分のブラウザで簡単位BGMの止める操作を知らない人も少なくない。自分の意志とは関係無く流れ出した音楽に対し、ユーザは慌てて ― しばしば酷い悪態をつきながら ― 止めようと試みるだろう。


環境への配慮


それぞれのユーザの閲覧環境は、全く予想することが出来ない。不意に音が鳴ると危険な空間かもしれないし、自分の好きな曲をCDから流しているのかもしれない。どちらにしろ、改めて現在開いているページから音楽が流れ出すことを期待しているケースは極めて稀だ。前者なら周囲からの視線を一身に受ける事になるし、後者では『お気に入りの曲』に別の旋律が混じってしまうことだろう。回線が遅いために、あるいはマシンスペックが低いために、そのページで立ち往生せざるを得なくなる事だって有り得る。


BGMを流す行為は非常に危険なので、安易にするべきではない。しかし、Web上での音楽の再生は必ずしも『悪』なのだろうか。


必要な情報か否か


音楽を流す事に限らず、WebにShockWaveやスクリプトなどの技術を導入する事は間違いではない。むしろこれからの時代は、次々と真新しいメディア・タイプが参入してくることだろう。Webの一端を担う人ならば、おそらくそれらを完全に無視する事は出来ない。しかししばしばそれらの最新技術が嫌われるのは、用い方を多いに間違っているためだ。


殆どのWeb広告が無視されるのは、ユーザの欲しい情報がそこに存在しないからだ。さらには点滅したり、ポップアップとして出現したり、過剰なほど存在を誇示してくるために、ますますユーザはそれを視界から取り除こうとする。しかしGoogleのテキスト広告のように検索単語と直結して出現する簡潔な3行テキストは、ユーザはそれを広告(≒関係無い情報)ではなく一つの『情報』として捉えるために成功し得る。ユーザがそれを望んでいるのかいないのかという、根本的な相違点だ。


同様にWeb上での最新技術も、ユーザが望まないのに無理矢理押し付けようとするから失敗する。ただ普通の情報を得たいだけなのに、プラグインのダウンロードを要求されたり、ブラウザを変えるように言われたり、手間ばかりかかる自己満足なアクションに毎回付き合わせれたならばうんざりするだろう。しかし、綺麗なFlash動画や風変わりなインタフェースを望んでいる人だって勿論いる。最近、Flashばかりを集めたサイトに人気が集まっているという事実もある。そういうサイトにてShockWaveプラグインを要求されたところで、腹を立てる人は少ないはずだ。それは、ユーザがFlashの再生を望んでいるからだ。


話をBGMに戻そう。例えば音楽CDを扱ったレコード店のサイトで、曲名をクリックしたために音楽が流れ出した事に対して腹を立てる人がいるだろうか。むしろユーザは音楽を目的にそのサイトを訪れているのであり、一部を視聴できるとすればそれは喜びに変わるだろう。あるいはサイトのイメージアップのために、最新のアルバムの一部をBGMとして演奏するかもしれない。MIDI配布サイトでも同じだ。そういった音楽の用い方はユーザの必要にマッチした、正しい音楽の用い方だ。何しろユーザは、音楽を求めてそのサイトを訪問しているのだから。


間違った音楽の用い方


最も避けるべき例は、音楽と何ら関係の無いサイトにてユーザの意志とは関係無く鳴り出すBGMである。どこかのMIDI配布サイトから借りてきた何曲かを、中途半端に流すのが一番まずい。訪れたユーザがその『BGM』という情報を求めているとは考えにくい。むしろ興味が無いのにしつこく自己主張を繰り返すWeb広告のように、不快な情報として捉える事のほうが圧倒的にに多い。そのユーザにとって音楽は間に合っているのだ。必要ならば自分でCDをかけるか、関連のWebサイトに行くことだろう。例えBGMを聞いてその作者のMIDIがもっと聴きたいと考えても、借りてきた素材ならそのサイトでは入手できない。


音楽関係のサイトであったとしても、ページの読みこみと同時に音が鳴り出すのはあまり良いやり方ではない。訪れたユーザは音楽を聴きたいのではなく、単に歌詞カードを手に入れたいだけなのかもしれない。鳴り出した音楽が大嫌いという可能性だってあり得る。音楽を再生する場合は、必ずユーザの意志によって流すかどうかを選択させなければならない。具体的には、曲名を示したラベルに、再生ボタンと停止ボタンがそれぞれ一つづつあると良いだろう。ユーザが自分の意志でそれを押したならば、慎み深い音量でそれを流す。


「スイッチ形式にしたら誰も聞いてくれないのではないか」と心配するかもしれないが、安心して欲しい。再生ボタンを押さないユーザは、はじめから音楽を聴こうという意志は無い。聴きたくないのに無理矢理聴かせようとしても、嫌われるだけだ。


始めにEnterページを作って再生するかどうかを選ばせるサイトもあるが、毎回1ページ余分に通過しなければならないという手間が発生してしまう。検索エンジンから直接ジャンプしてくる可能性もあるため、適切にロボット弾きをしておくと良いだろう。可能ならばアクセス解析によって、ユーザがどちらの選択肢を選ぶかの統計を取ってみても面白いかもしれない。


音楽は正しく使えばとても心地よいものだ。ちょっとした心遣いによって、それが不快にはたらく事を避けることが出来る。


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