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2003年11月21日

マイクロペイメントの可能性 [Web]



少し想像力を働かせてみて欲しい。例えば全てのWebページを一度要求するたびに、25銭の課金がなされたとしたらどうなるだろうか。ここでの25銭とは、あくまで仮の数値である。25銭のうち20銭はサイト管理者に、残りの5銭はサーバ管理者に手渡される。1日に100ページを閲覧したならば25円。1000ページで250円だ。逆に、1万ページビューのあるサイトは2000円、10万ならば2万円の臨時収入が転がり込んでくる。それらを少しずつ記録していき、インターネット接続料金とともにそれらは回収される。


あなたのサイトはどれだけの収入を稼ぎ出す事ができるだろうか。あるいは月ごとの回収金を、どれだけ支払わなければならなくなるだろうか。


そんな馬鹿な話はあるかと思われるかもしれない。しかしこのようにサイトの閲覧にわずかな課金をするサービスはすでに実験的に行なわれている。マイクロペイメントである。実際にはあらゆるコンテンツではなく、一部の課金を必要とするサービスにのみそれは適用される。しかしもしこのシステムが拡大すれば、全てのWebサイトにそれがなされるという事も全く考えられないわけではない。


Web広告という従来の手法に、我々はそろそろ限界を感じ始めている。だれもその動き回る画像をクリックしたがらないし、その収益性は極めて低い。Googleのテキスト広告はいくらか効果もあったが、それも時間の問題かもしれない。Web広告の生き残る可能性は、限りなく低いだろう。そこでこのマイクロペイメントだ。


マイクロペイメントの可能性としては3つある。一つは誰もがWebを見放すこと。もう一つはWebが一つの事業として成立すること。最後は、誰もそのサービスに見向きしないことだ。


これまでのWebの歴史は、とかく無料の社会だった。一部の有料サイトを除けば、あらゆる情報・サービス・コミュニケーションが無料で利用できる。それは既存の書籍や店舗よりずっと手軽で、しかも多くの種類が揃っている。何かわからないものがあった時も、手元の辞書を引くより、または図書館に足を運ぶよりも、検索エンジンを用いればよほど簡単で実用的な答えが手に入る。『現金以外手に入らないものは無い』というキャッチコピーすら、どこかで見かけた事がある。


しかしやはり無料には限界がある。それだけの情報やサービスを提供するためには相応の労力や設備・スタッフが必要だし、それにはお金が掛かる。しかし既存の手段では、それに見合った収入は期待できないのだ。それはサービス性の低下に直接的に結びつく。


良く考えてみて欲しい。たとえば500円以上もする情報誌を、実際に購入した事はないだろうか。その100ページにも満たない薄っぺらな印刷紙のうち一体何割が役立つ情報だっただろうか。しかしそのわずかな情報を得るために、あるいは楽しむために我々は財布の紐を緩めることを厭わない。あるいは喫茶店に入った時、差し出されたメニューの金額の高さに腹を立てるだろうか。あるいはそういう時もあるかもしれないが、普通はその“雰囲気”というサービスに対して相応の対価を支払う。


Webではこれがすべて無料で行なわれる。そこに相応しい料金を課すことは、ごく自然のことではないか。一歩街に足を踏み出してみよう。無料で受けられるサービスなんざ、公園のベンチかデパートの試食品コーナーぐらいなものだ。


そのような課金制度が今すぐ普及するとは考えにくい。我々は無料という常識に慣れすぎている。技術的な問題もあるだろう。一々そのページに入るたびにダイアログボックスが現れていたのでは、見る気も失せる。それに課金を課されるぐらいなら、回れ右をして別のサイトを探す人は少なくないだろう。有料という制度は、実際多くのWebの可能性を奪う事になり得る。著作権問題は一層深刻になるだろう。第一、インターネットの利用法はWebだけではないのだ。


実際、この手法は以前から提案されていたものの、大々的な普及には至らなかった。チップを握り締めているのはユーザであり、それを手渡すかどうかもユーザに任せられている。ユーザが積極的に支援しない限りは、マイクロペイメントも何時の間にか時間という塵の中に埋もれていくだろう。あるいは投げ銭システムに見られるように、ちょっと変わった形での実現もあるかもしれない。


解決すべき問題点は山ほどある。しかしWeb広告がこれまでになく窮地を迎えているのも事実。この新しいビジネスに理解を深める事は、決して時期尚早ではないはずだ。


関連リンク


Alertbox: マイクロペイメントの論拠


マイクロペイメントへの反論


Web投げ銭について考えてみた


米Peppercoin社が今年後半にマイクロペイメントサービスを開始


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