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2003年10月29日

等価な情報という意味について [Web]



今日様々なOS・ブラウザ・Plug-inが混在する中、いかに環境に依存せずより多くの人に情報を発信できるかが重要なポイントとなっている。何らかの形でWebサイトの作成を手がけた方なら、恐らく痛いほどそれを認識されているだろう。考えられるケースはごまんと存在するし、それらの全てが作者の思い通りに働いてくれると考えるのは大間違いだ。実際、多くの熟練Webデザイナーは様々な環境・バージョン・設定の閲覧環境でテストしている。もし貴方がWindows+IE6.0で全てのスクリプト/プラグインを有効な状態でしか閲覧テストしていないならば注意が必要だ。ひょっとしたら、隣のPCでは貴方のサイトは真っ白な画面しか表示されていないのかもしれない。(実際そういうサイトは数え切れないほどある)


しかし残念な事に、その結果を見た多くのWebデザイナーの導き出す結論はこうだ。


『最近ある全てのブラウザで、“同じ”表示を実現しなければ。』


端的に言ってしまえばそれは技術的に不可能だ。プラットフォームをWindows+IE6.0に限定したとしよう。いくら文字サイズを固定した所で設定一つで替えられるし、ユーザスタイルシートを当てられれば全く違う見栄えにもなり得る。HTML文書を発信するのはサイト作成者およびそのWebサーバだけれども、それをレンダリングするのはユーザ側の端末だからだ。本当にそれを実現したいなら、画像かPDFにでもするしかないだろう。


仮に今後のWebの標準規格がPDFになったとしよう。勿論、AcrobatReaderの機能性が遥かに上がり、IE6.0並になったとしての前提だ。一時的にはWebデザイナーを喜ばせるかもしれない。表示の違いやクロスブラウザ問題から開放されるからだ。だけれども、やがてその選択が間違っていた事に気付く事に違いない。


PDFは構造化文書ではない。レイアウト情報やフォント、画像などを全て内部に包括してしまう。単純に考えて、一つ一つのファイルに対する転送量が上がるだろう。しかしそれは些細な問題に過ぎない。真の問題は、PDFは携帯端末等では扱えないという点だ。


これは単に、AcrobatReaderがインストールされていないといった問題ではない。必要ならば、今後の全ての携帯端末に搭載する事も技術的には可能だろう。しかし確かなレイアウト情報を持ったPDFを、小さな液晶画面にどうやって表示したら良いのだろうか。巨大なスクロールバーで部分的に表示するだろうか。あるいは1ページ分を丸々画面サイズに縮小して表示するかもしれない。どちらにしろ、閲覧は困難を極める。レイアウトを無理矢理変更して表示するということは無いだろう。それではPDFのメリットは失われてしまう。PDFの最大の利点は、「全ての閲覧環境で同じレイアウト」だからだ。


「PDFがWebの標準規格なんて成り得ない」と貴方は言うかもしれない。けれども、考えてみて欲しい。「全ての環境で」を売りに、最近急速にWebに浸透して始めているフォーマットがあるはずだ。そう、ShockWave(Flash)だ。


一部の携帯端末は、既にShockWaveの再生を可能にしている。だけれども、ますます増加・巨大化するFlashコンテンツの浸透に、果たしてどのように対応していくのだろうか。仮に携帯電話業界がそれを解決したとしても、FlashはHTMLのように、あらゆる製品に対する汎用性を持ち合わせていない。レイアウトやアクション、インタフェース部分を全て取り除かない限り、XHTML Basicを越える事は出来ないだろう。見栄えが良くセンセーショナルなだけでは、限られた範囲では有効でも、やがていつかは廃れてしまう。


話を戻すが、Webという日々変わりゆくプラットフォームで「同じ表示」という考え方は間違いだ。「等価な情報」に、それを修正しなければならない。


Flashが駄目だと言っているわけではない。わざわざプラグインをダウンロードするという“手間”をかけたユーザには、それ相応の優遇があっても良いだろう。逆に言えば、自分からテキストブラウザで閲覧しているユーザは、きらびやかな画像やアニメーションを必要としていない。ただ必要な情報が手に入りさえすれば良いのだ。また、せっかく最新ブラウザにアップデートしたのに、以前と全く進展が無ければユーザは不満を覚えるだろう。


つまりは元々環境によって表示は千差万別なのだから、できるだけユーザの意志に任せたWebデザインを目指すほうが遥かに賢い選択となる。幸いHTMLは、一時はブラウザ依存の“タグ”が乱発する言語になりつつあったけれども、現在は多くのプラットフォームで「等価な情報」を提示するのにいくらか配慮がなされている。


それを活用するか否かは製作者次第だ。テーブルで横幅を固定して、文字サイズも変更不能にしてしまうなど、HTMLの利点をなんら活かしていない。そういうデザインは、低いレベルの環境に不具合が出るだけでなく、高解像度の画面を選択することの自由さえも奪いかねない。


ユーザが本当に必要としている情報の中に、果たしてそれらのレイアウト/デザイン/アクションが含まれているかどうかを深く検討すべきだ。それらを単純に全て除き去ってしまうのは賢い選択ではないかもしれないが、少なくともユーザにそれを選ばせる権利ぐらいはあるはずだ。


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